webcoms - Product Report -

		ホーム \| webcoms 資料室トップ
		webcoms 資料室

■ PX-755A 使用レポート

プレクスターから約１年振りの新製品、PX-755A が発売されました｡
DVD±R メディアへの書き込み速度は前モデルの PX-716A と変わりませんが、DVD±R DL（Double Layer）メディアへの書き込み速度が向上しており、DVD-R DL では８倍速、DVD+R DL では１０倍速という高速書き込みが可能になりました｡

この PX-755A は上位モデルの PX-760A の兄弟機で、機能はそのまま PX-760A のそれを踏襲しているので、上位モデルのユーザビリティをそのまま味わうことができます。

●PX-755A の主な特長
これまでの同社製品の比較して、外観上の一番の違いはフロントパネルの成型色です。
今まで、最初から取り付けられているフロントパネルは白色でしたが、PX-755A ではごく普通のベージュになっています｡　また、トレイ部分のパネルには従来では別成型された黒く細長いパネルが溶着されて、２部品構成となっていましたが、コストダウンのためか PX-755A では一体成型となり、黒いラインの部分はモールドに変わっています｡
まぁ、パネルデザインに関してはコストの制約もあり、やむを得ない部分かと思いますが、
成型色があのプレクスター・ホワイト（と勝手に名付けます）でなくなったのは、ちょっと残念です｡　ただ、付け替え用フロントパネル（ブラック＆シルバー）は引き続き同梱されていますから、そちらを選択される方は特に気にすることもないでしょう｡（笑）

PX-755A

1)１６倍速書き込み
DVD±R 使用時において、最大１６倍速での高速書き込みが可能です。

2)DVD+R DL 世界最速(*)１０倍速書き込みを実現（*:2006年1月時点）
従来では最大６倍速だった DVD+R DL への書き込み速度が一気に１０倍速にまで引き上げられました｡　但し、書き込み方式は CLV から P-CAV へ変更されています｡　これは、８倍速以上の速度では当然の仕様変更となります。　ちなみに、DVD-R DL では６倍速の CLV 書き込みのまま変更はありません｡

3)記録品位の更なる向上
従来から定評のある PoweRec、AUTOSTRATEGY 等のプレクスター独自の記録品位向上のための機能はもちろん PX-755A にも搭載されています｡　また、読み取りに於いてもブラックトレイの採用によるレーザー乱反射防止も従来通り。特に PX-716A で搭載された AUTOSTRATEGY は今回更に改良されて、より高い記録品位の実現に貢献しているとのこと。　ただ残念なのは、やはり PX-716A で搭載されていた INTELLIGENT TILT が搭載されていないことです｡　これは、上位モデルの PX-760A に搭載される予定とのこと。
あくまでも PX-755A は PX-760A の下位モデルという位置付けなので、やむを得ないことだと思います。その分廉価で購入できるわけですから、ユーザー自身の用途に合わせて機種選択すれば良いでしょう｡

4)１０本もの、充実したバンドル・ソフトウェア
PX-755A には、ビギナーからベテランユーザーまでが、DVD を作成するための便利なソフトウェアが１０本もバンドルされています。　これらを使えば、映像データの編集、オーサリング、DVD メディアへの書き込み、ラベルプリント等、一連の作業が可能で、更に DVD 再生ソフト、パケットライトソフト、HDD イメージのバックアップなど、殆ど全ての用途をカバーすることが出来ます｡

特に、ライティングソフトには、ビギナー向けの Power2Go のほか、ベテランユーザー向け高機能ライティングソフトウェア Zulu2 が新たにバンドルされ、習熟度にあわせた選択が可能になりました｡　今回のレポートでは、Zulu2 を使用することにしました｡

もちろん、定評のある PlexTools Professional も付属しています。
この他の詳しい製品情報は、プレクスター（株）のウェブサイトをご覧下さい。

プレクスター株式会社トップページ：　http://www.plextor.co.jp/

●準備
PC の環境は PX-716A の時と同一です。

CPU: Pentium 4 3.2GHz
Memory: 512MB
HDD: Serial ATA 120GB（システム用）
HDD: Serial ATA 80GB（イメージ作成用）
OS: Windows 2000 Professional

ドライブの設置方法も PX-716A の時と同様、PC に内蔵して ATA インターフェイスで接続しました。もちろん DMA 転送は有効にしています。

●使用メディア
使用メディアは以下の通りです｡
今回も DVD は DVD-R メディアのみの評価とさせていただきます｡　ユーザーが消費するメディアの大部分が DVD-R であると思われることと、恐縮ながら今回も予算の制約があって、このようにさせていただきました｡
メディアは 16x の国産品の他、海外製メディアも幾つか集めてみました。今までのテストでは国産メディアの殆どが大変優秀な記録品位を有しているので、今回は台湾や香港で製造された廉価なものの品質を確認し、AUTOSTRATEGY を駆使して書き込んだ場合の記録品位の向上がどの程度なのかを確認したいと思ったからです｡　なお、16x 書き込みのテストには Panasonic ブランドの誘電と maxell を使用してみました｡

DVD-R

1. Panasonic DVD-R 4.7GB / 16x 対応品製造元：太陽誘電（日本）		2. maxell DVD-R 4.7GB / 16x 対応品製造元： maxell（日本）
	---

3. PHILIPS DVD-R 4.7GB / 8x 対応品製造元： CMC（台湾）		4. radius DVD-R 4.7GB / 8x 対応品製造元： OPTDISC（台湾）
			---
5. UNIFINO DVD-R 4.7GB / 4x 対応品製造元：UNITECH Japan（日本）		6. MESEV DVD-R 4.7GB / 4x 対応品製造元：AML(SKYPro,Quentin) （香港）
---		---

●テスト結果
前回同様、最大速度による書き込みを中心にその記録品位を確認してみました。
試験方法は前回のレポートでも用いた、友人に頼んで TV 番組を HDD 録画したものを使用します。これを各メディアで書き込み、再生確認を行います。データは約２時間分ですので、メディア一杯に書き込めます。

(1)PI/PO テスト
AUTOSTRATEGY を有効にした通常の書き込みと、AUTOSTRATEGY を無効にして書き込んだものを作成して、それぞれに PI/PO を測定してみました。　下の図にマウスカーソルを当てると、AUTOSTRATEGY を無効にした画像に置き換わります。　マウスカーソルを当てたり外したりして、その違いを確認してみて下さい。

16x メディアの書き込み
今回は Panasonic ブランドの誘電と maxell をテストしてみましたが、Panasonic では全周にわたって非常に質の高い書き込みが出来ています｡　このような高速であっても大変質の高い書き込みが出来ているのは、さすが太陽誘電ですね。
これに対し、maxell では外周付近で大きくエラーの発生が高くなっています｡　念のためもう一枚を同条件で書き込んでみましたが、全く同じ状況でした｡
興味深いのは、maxell メディアは AUTOSTRATEGY を OFF にしたときのほうがエラーレートが低いと言うことです｡　おそらくこれは、PX-755A が maxell 16x に対するライトストラテジを最適化しきれていない可能性があります。少なくとも現時点でのファームウェアに於けるものであるので、将来的に記録品位が改善する可能性は十分にあるでしょう｡

maxell 　書き込み時間　5' 41"

Panasonic　書き込み時間　5' 45"

8x メディアの書き込み
結論から言うと、やはり台湾製はそれなりの結果でした｡ (^^;
ご覧の通りエラーレートは高めですし、radius では最初に書き込んだものは単品不良で外周に著しいエラーが生じていました｡　但し、この程度でしたら通常の使用には全く支障がないと思われるので、価格が安ければ常用するには問題ないでしょう｡　でも、私自身の経験で台湾メーカー製は個体差が激しいので、常に安心して使えるとは限らないのが辛いところ．．．。

PHILIPS　書き込み時間　7' 43"

radius　書き込み時間　7' 35"

4x メディアの書き込み

MESEV について
今回はじめて使用してみたサプライ品メーカーのロアスが販売している MESEV ブランドのメディアですが、これは全くお話になりません。
書き込みを開始してすぐに、ライトエラーが発生して中断してしまいました｡
三回トライして全てＮＧ。　AUTOSTRATEGY も PoweRec も、全く効果無しでした｡
これは単に、不良品ということですね｡　出荷可能な品質の基準を著しく低く設定しているのでしょうか｡　日本の名の知れたメーカーが平然と販売していることに疑問を感じます｡

unifino　書き込み時間　13' 50"

前回のテストで使用した unifino の残りがあったので、ついでにテストしてみましたが、同じ 10枚入りパッケージの中のメディアかと思うほど、全然違う結果を示しました｡
見違えるほどの低エラーレートで、使用に全く問題ないレベルです｡
個体差が激しすぎるのか、いずれにしても常用するには注意が必要かと思います｡

PI/PO テストに於ける、AUTOSTRATEGY の効果
以上の結果をご覧の通り、意外にも PX-716A の時のようなエラーの低減はほとんど見られず、逆に maxell の場合のように AUTOSTRATEGY を ON にしたときの方がエラーレートが悪化している場合もあるほどです。　ただし、PI/PO テストは、メディアのエラーを定量的に確認するためのものですから、直接的に記録品位を判断するためのものではありませんし、単なる一つの要素に過ぎません。　記録品位は、ピット長とランド長が規格通りに綺麗に形成されているかが重要な要素になってきますから、次の TA Test に注目してみましょう。

TA Test による、ジッター測定
今回焼いたメディアを測定した結果は、以下のリンクをクリックするとご覧になれます。
実際の測定は、メディア毎に内周、中周、外周と３カ所の測定を行いましたが、ページレイアウトの都合で内周と外周のみの掲載とさせていただいたことを、予めお断りしておきます。

TA Test の結果を見る

前回 PX-716A によるテストでは、全体的にあまり優れた結果を示したものがありませんでした。
しかし、今回のテストでは 8x 以上の高速書き込みながら、全体的に大変優れた結果を示すものが大半を占めました。
これはおそらく、P-CAV または Full CAV による高速書き込み時の記録品位が大幅に改善されたものであると言えると思います。

やはり AUTOSTRATEGY は有効だった
TA Test の結果を見ると、確実に AUTOSTRATEGY を ON にした方がジッターが低く、各ピット長の分離度が高い傾向を示しています。　一つだけ例外的に、radius の外周付近で、AUTOSTRATEGY を OFF にした方が良い結果が出ましたが、おそらくこれは偶発的なものだと思われます。まぁ、バラツキが大きいので、極端に良いメディアも混ざっているのかも知れません。 (^^;
以上から判断して、PX-755A が搭載している AUTOSTRATEGY は、PI/PO エラーの低減よりも、もっと実効的に記録品位の改善に寄与しているような印象を受けました。　実際、PI/PO エラーは今回のテストで各メディアに発生した程度では全くと言って良いほど影響がないので、記録品位の実質的な向上が見られることは、それだけ書き込んものの保存性も向上すると思われます。

注意：
いつも申し上げていることですが、今回の測定結果は単に、私こと COLT-T がたまたま購入したメディアを測定し、そのメディア同士を、相対的に比較しただけに過ぎないと言うことです。つまり、そのメディア個々に対する絶対的な評価や判断では無いわけです。
ですので、今回結果が思わしくなかったメディアが、常に同様の品質であるわけでは、決してありませんし、今後はドライブ自体のファームウェアの更新による書き込み品位向上の可能性や、ファームウェアに含まれる各メディア毎のライトストラテジが、市場の情報が集まってくるにつれて、より理想に近いものに合わせ込まれてくる可能性は十分にあります。
今回の結果はあくまでも参考程度にとどめ、実際に使用する際には皆さん自身で確かめて下さい。

● CD-DA の音質評価

上級機の PX-760A との同時評価を実施しました。
こちらをご覧下さい。

CD-DA 音質評価を見る

●まとめ
今回、評価を開始した当初、PX-716A との違い、又はアドバンテージがどこにあるか、正直言ってなかなか見つけられませんでしたが、使い続けていくうちに、高速書き込みに対する記録品位のめざましい向上がなされていることが分かりました。　とりわけ、Panasonic（太陽誘電）メディアでの記録品位は秀逸で、AUTOSTRATEGY の精度も相まって、素晴らしいものでした。また、台湾メディアによる記録品位も全く問題ないものですから、バラツキの問題さえ注意すれば安心して使用できると思います。

より低価格化が進んだ DVD±R/RW ドライブ市場にあって、PX-716A の高性能をそのままに、より購入しやすい価格になった PX-755A はビギナーからベテランまでを幅広くカバーすることが出来る逸品だと思います。
最初はやや不安を感じた今回の使用レポートですが、テストを終えた今、それが全くの取り越し苦労であったということをしみじみ実感しています。（笑）

2006年1月25日　(C) COLT-T
無断転載・引用・直リンクを禁じます。