ホーム | オモシロ CD-R 解説トップ | メディア・カタログ

 

前の記事 | 次の記事


 

第3回 2000/07/15 必見!! メディアの耐湿性テスト

せっかく苦労して作った自分だけの CD が、使っているうちにいつの間にか音が飛ぶようになってしまったり、大切に保存していたのにいつの間にか読めなくなっていたら、大変がっかりしますね。

CD-R メディアの裏ジャケットには、取り扱い方として「直射日光の当たる場所に放置しない」、「高温、多湿の場所を避けて保存する」と、必ずと言って良いほど書かれています。
耐光性に関しては、フカミさんが運営するサイトの BBS にて、SHINさんという方が大変詳細な実験をされていますので、こちらが参考になると思います。一方、当サイトでは、保存時の注意として高温多湿、とりわけ多湿な場所に長期間放置した場合、どのような変化が現れるかを検証したいと思います。
実際のテストは、当サイトの BBS の常連さんでもある、A9UA2 さんという方が行いました。
A9UA2 さんのご協力により、当サイトで結果をご報告できることになりました。
どうもありがとうございました。m(_ _)m> A9UA2 さん


CD-R メディアの保存性(耐湿性)テスト

  1. 背景
    昨今の爆発的な CD-R 普及による価格競争のあおりを受け、製造コスト削減のため、CD-R メディアの反射層が金から銀へ移行した。銀は金よりも酸化しやすいので、レーベル面のコーティングで反射層を完全に覆うような方法で、銀反射層が外気に触れないような対策が必要になった。
  2. 耐湿性テストについて
    コーティングが不十分だと、銀反射層が外気や湿気に触れ、腐食してしまう可能性がある。本テストはレーベル面を覆うコーティングの気密性を調べるものであり、これにより施されているコーティングが十分かどうかを知る、客観的な目安を得ることが出来る。
  3. 実験方法
    CD-R メディアを、水道水を満たした容器に丸ごと浸し、そのまま1週間放置した。
    (個々のメディアは重ならないように、隙間が入るよう工夫した。)
  4. 実験結果
    メーカー(原産国) 経過日数 腐食の有無 コメント
    太陽誘電 74min
     TY 盤(日本)
    ラッカーコーティングの上に、オーバーコート有り
    三井化学 旧74min(日本) ラッカーコーティングの上に、オーバーコート有り
    TDK 74min(日本)

    ---

    三菱化学 スーパーアゾ 74min(シンガポール) 内周で腐食 7日経過後の画像はこちら
    腐食が進行
    リコー 74min(日本)

    ---

    メモレックス 80min
    (台湾 RiTEK)

    ---

    富士フィルム 内周・外周
    共に腐食
    内周部分の画像
    (記録面から撮影)
    外周部分の画像
    (レーベル面から撮影)
    腐食が進行
    ARITA 80min
    (台湾 RiTEK)
    内周で腐食 ごくわずかな腐食のみ
    ARITA 74min サイケ盤
    (台湾 RiTEK)

    ---

    Mr.DATA 74min
    (台湾 CMC)

    ---

     

  5. 考察
    さすがに定評のある3大国産メーカー(誘電、三井、TDK)に関しては、コーティングの品質は万全。リコーも不安無し。
    ただ、気になるのは三菱化学のスーパーアゾで、腐食が見られること。
    2世代前の製品で、エッジ部分の酸化が大きな問題となっただけに、最近の製品でも当時と同様の不安を抱えていると言った印象があります。果してクリスタルコート品はどうなんでしょう? 見た目は良さそうに思えますが...。
    フジは比較的地味な存在の為か、あまり品質に対する議論を見掛けませんが、この結果を見ると、保存には注意が必要かと思われます。

    対して台湾製ですが、意外にもコーティングが強いことに驚きました。
    着実にノウハウを蓄積してきつつある印象ですね。今後は殆どのメディアが台湾製になるでしょうから、今後を占ううえで貴重な結果だと思います。

    <参考結果>
    このテスト以前に、A9UA2 さんが新盤の誘電 80min TY と、RICOH をテストしているんですが、この時は両者ともに腐食が発生しています。
    試験条件が今回と異なるので上の表からは除外しましたが、新盤の誘電には注意が必要かも知れません。リコーについて A9UA2 さんによると、内周にシリアル No. が印字されているものと印字が無いものでは、オーバーコートの面積が違うとのことです。
    ・シリアル No.無し:反射層よりもコーティングが内側になっていて、小さい。
    ・シリアル No.有り:反射層より大きく、覆うようにコーティングされている。
    上記の表に掲載した RICOH は、このシリアル No.「有り」の方で、腐食が見られた方は、「無し」の方だったとのことです。つまり、オーバーコートからはみ出した部分で腐食が起こりやすい傾向があると言えると思います。
  6. この結果が語るもの
    上記結果から分かるように、メディアによっては銀反射層の密閉性が不十分なものがあることが分かりました。通常はラッカー・コーティングにより、反射層を保護していますが、これにより完全に密閉することの難しさが見て取れます。また、今回問題なかった製品でも、微妙な品質差によって密閉性が損なわれ無いとも限りません。
    大切なメディアの保存には、乾燥剤(シリカゲルなど)を一緒に入れてあげて、なるべく密閉性の高い保存ケースに入れるのが良いと思います。
    しかし、それでも長期間の保存には、ポリカーボネイト基板の白濁などで物理的な寿命が訪れます。
    本当に失いたくないものは、数年毎に新しいメディアで焼き直すのが良いでしょう。
  7. 注意
    1.この耐湿性テストは、A9UA 2 さんの手によるごく私的な実験であり、その結果を基に COLT-T が Web ページ掲載用に再編成したものです。
    2.従いまして、各メーカーの検査基準とは異なるので、あくまでも目安に過ぎません。また、本試験結果に対して当サイトと COLT-T、及び A9UA2 さんは何ら責任を負うものではありません。
    3.この試験結果は全く私的なものなので、この結果を元に、メーカーや販売店に問い合わせることは絶対にしないで下さい。
    4.ご覧になっている方が同様の試験を行った場合に生じるいかなるリスクや、試験結果の内容に対して、当サイトと COLT-T、及び A9UA2 さんは一切責任を負いません。
    5.その他掲載内容に関する免責事項は、「サイト・ポリシー」のページをご覧下さい。

 

 

 



前の記事 | 次の記事

※当サイトの全ての内容に対し、無断転載・引用・トップページ以外への直リンクを禁じます。

Copyright (C) by COLT-T All rights reserved.
Since 01 Feb.2000 / Since 01 Apr.2000-Official Released