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第8回 2003/05/31

Plex Tools Professional における Q-Check ≪仕組みを知って、上手に使おう≫

[ 目次 ]
 ・Plex Tools Professional リリース、各測定項目の説明
 ・準備、実際の測定 C1/C2 test
 ・実際の測定 Beta/Jitter test
 ・解説:各測定結果について
 ・他ドライブで焼いたメディアの測定
 ・最後に:Q-Check で出来ること、出来ないこと


Plex Tools Professional リリース

プレクスターの CD-R/RW ドライブ PX-W5232TA 専用ユーティリティ PlexTools Professional(以下、PT Pro)は、これまで同社の CD-R/RW ドライブに標準添付されていた Plextor Manager 2000 に代わって添付されたもので、Plextor Manager 2000 が持っていた諸機能に加え、静音化設定等のドライブ設定や、ディスクに関する診断プログラム等が追加されています。

実は、PT Pro のベースは、以前から欧州仕向の製品に添付されていた Plex Tools というソフトウェアです。機能的には Plextor Manager 2000 とほぼ同等なのですが、Plextor Manager 2000 では各機能が、タスクトレイやドライブのプロパティ画面での追加タブなど、各所に分散しており、あまり使いやすいとは言えないものであったのに対し、Plex Tools では一つのウィンドウに統合され、より使い勝手が向上しています。
今回の PT Pro では、その仕様がそのまま引き継がれ、機能が追加されてもその使い勝手が落ちることはありません。

Plex Tools Professional の初期画面

 

新機能 Q-Check とは

PT Pro で注目すべき機能は、何と言っても Q-Check と呼ばれるメディアチェック機能でしょう。

Q-Check は PX-W5232TA で使用する CD-R メディアに対し、多角的な面から品質をチェック出来るツールで、そのメディア固有の品質を客観的に知る手がかりを得ることが出来ます。
本レポートは、PT Pro の各機能の中で、特にこの Q-Check に焦点を絞って解説します。

Q-Check の各機能
Q-Check には、3つの測定画面が用意されており、それぞれ以下の測定が可能です。

(1)C1/C2 test
(2)FE(Focus Error)/TE(Tracking Error) test
(3)Beta/Jitter test

チェック項目について

(1)C1/C2
CD 技術は、ミクロンレベルの非常に小さなピットの情報を読み書きするので、当然ながら読み損なったり、CD-R ではちょっとした盤面の荒れによって正常にピットを書き込めないことがあります。それがデジタル信号上ではエラーとなります。
もちろん、そう言った不具合は発生しないに越したことはありませんが、完全に排除するのは不可能。CD-R のデータトラックを道の大きさに例えると、小さな塵やゴミは大きな岩や大木が道をふさいでいるようなものです。
従って、「エラーは必ず発生するもの」という前提を踏まえた上で、書き込み品位を考える必要があります。

C1 は、エラー・レベルとしては最も軽微なもので、最終的には完全に訂正可能なものです。チェックで検出された C1 の数値は、正確にはエラー訂正された回数のことですから、検出された時点で元のデータが復元されたとみなして良いでしょう。 C1 の発生頻度は、メディア自体の品質、ドライブの書き込み性能、ライトストラテジの適正などを判断する要素として用いられます。

C2 は、具体的にはエラー訂正可能な E21〜E22 レベルのものと、訂正不可能なもの E32/CU(Un Correctable)とに分類されており、万一訂正不可能なものが発生する場合には、当然ながら音質にも影響を与えることになります。(各エラー・レベルの違いは、訂正するデータ長によって分類されています。)
また、訂正可能なレベルであっても、そもそも C2 自体、読み取り中に発生してはならないものであるため、C2 が発生する場合、メディアやドライブの品質に問題があることを示しています。

(2)FE/TE
フォーカス・エラー(FE)は、ピックアップが記録面を追従するためのレーザーの焦点が、通常の範囲で調節出来ないときに発生します。
ドライブはメディアを読み書きする間、フォーカス・サーボによって常にレーザーの焦点をメディアの記録面に合わせ続けています。メディアはもちろん均一な平面率を保つように製造されていますが、保存方法やロットのバラツキによって、若干の歪みが生じることもあります。また、コストダウンによる品質低下によって、歪みが大きいものも存在します。この歪みは一般的に「面ブレ」と呼ばれ、記録品位のみならず、読み取り性能にも大きく影響します。 当然、ドライブの回転速度が早くなれば早くなるほど、焦点調節が忙しくなりますので、面ブレの程度如何では高速書き込み時の重大な障害となります。

次に、トラッキング・エラー(TE)ですが、これは主にトラックの偏芯などによってピックアップが記録面のトラック追従を正常に行えなくなる時に発生します。
この TE が発生する要因も、上記の面ブレが多大な影響を与えています。

更に、粗悪なメディアでは、上述の回転軸に対し重心がずれてしまう「偏芯」は、成型時の不具合等でウォブル自体が歪んでしまうことでも生じることがあります。また、記録面自体が荒れていたりして、ウォブルに欠落や傷、歪みがある場合もサーボが混乱し、 FE や TE が発生する可能性があります。 さらに、メディア基板に使われているポリカーボネイト材の質や透明度も、FE/TE の発生頻度に影響するでしょう。

以上により、FE/TE はメディア自体の物理的な品質を判断する要素であることがわかると思います。

(3)Beta/Jitter
Beta 値は、3T〜11T のピット長のうち 11T の振幅に注目し、+(プラス)方向の最大振幅と−(マイナス)方向の最大振幅の差が、中心 0V に対しどれだけずれているかを示した値です。 レーザーによって作られたピットが、ランドに対してバランス良く形成されているかを判断する目安となります。 +方向の値は、ピックアップによるピットの検出(形成)度合いがランドより強いことを示します。

また Jitter は、時間軸方向の回転速度のブレを意味します。 これはスピンドルモーターの回転精度、電源回路やレギュレータの性能が大きく関わってきます。また、トラックの追従性も大きく影響します。
音質の良し悪しを左右する要素として、Jitter の影響が大きいとされています。

 

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