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第8回 2003/05/31

Plex Tools Professional における Q-Check ≪仕組みを知って、上手に使おう≫

[ 目次 ]
 ・Plex Tools Professional リリース、各測定項目の説明
 ・準備、実際の測定 C1/C2 test
 ・実際の測定 Beta/Jitter test
 ・解説:各測定結果について
 ・他ドライブで焼いたメディアの測定
 ・最後に:Q-Check で出来ること、出来ないこと


(4)他ドライブで焼いたメディアの測定
次に、他の CD-R/RW ドライブで焼いたメディアの書き込み品位を、Q-Check で測定したらどのような結果を得られるか確認してみました。
使用したドライブは、最新の SCSI ドライブであり、非常に品位の高い音質を聴かせてくれる PX-W4012TS です。
メディアは今回優れた結果を示した国産三井と音楽用誘電。これらを全く同じ条件書き込んで測定した結果を以下に示します。

これを見ると、C1/C2 test に関しては特に問題なく結果を表しているように見えますが、Beta/Jitter test に関してはおかしな現象が確認されました。Beta 値は、波状の脈動が最初から最後まで続いており、Jitter 値も大きく乱れています。
PX-W5232TA と比較すると、大きな差異を示す結果となりました。
この結果だけ見ると、まるで PX-W4012TS は書き込み品位が非常に劣っているかのように見えます。
しかし、その判断は誤りです。 この現象のみで結論を急ぐべきではありません。
そう結論付ける前に、もう少しこの事実を精査しましょう。

Beta 値をよく観察すると、開始直後の脈動は、終わりに近づくにつれて周期が少しづつ長くなっているように見えます。
次に Jitter 値をよく観察すると、 8分付近、次は 18分付近、28分付近、と言うように、ほぼ 10分おきに低い値のピークが周期的に訪れることが分かります。 まるで、ノコギリの歯のようです。 このような規則的なピークは、PX-W5232TA で書き込んだメディアの測定時には見られないものです。

これらの事実から、私はこう考えました。
つまり、この現象は Q-check を実行している PX-W5232TA 自身が持つ Jitter が、測定に悪影響を与えているのではないか、と言うことです。
メディアの品位をチェックするドライブそのものにも、当然ながら Jitter は存在します。書き込んだドライブと測定するドライブが同一(少なくとも同じ製品)ならば、回転時の Jitter は同じなので、測定時には相殺されます。
しかし、書き込んだドライブと測定したドライブが異なる場合、書き込みドライブの持つ Jitter 値と測定するドライブの Jitter が同じとは限りません。むしろ、異なる場合がほとんどでしょう。 そのため、メディアに記録された書き込みドライブの Jitter と測定ドライブの Jitter が干渉し合い、強めあったり弱めあったりを定期的に繰り返すことで、測定結果にあったような Jitter 値の乱れが生じたのだと思われます。
Beta 値の脈動もまた、同様に説明が出来ます。Jitter の干渉周期は一定していますから、それが Beta 値の脈動となって現れる。一方、脈動周期の変化ですが、測定時の線速は一定ながらも、内周から外周に進む時の Jitter 成分の角速度の変化が脈動周期を変化させているのだと思われます。
ただこれも、異なる環境下では異なる測定結果が報告されているようなので、絶対的なものではないと思います。
少なくとも、私の測定環境ではこのような結果が出て、私としては上記のような仮定を唱えたに過ぎません。
その旨を踏まえた上でお読み下さい。

以上により、Q-Check は PX-W5232TA 自身で書き込んだメディアのみでしか、正確な測定が出来ないと言うことがわかりました。 仮に、上記の脈動がジッターの干渉等に依るものではなかったとしても、他環境で異なる結果が報告されていると言うことからしても、やはり PX-W5232TA 以外で書き込んだメディアの測定値は、信頼性が劣ることは否めないでしょう。
他のドライブで書き込んだメディアを正確に測定するのであれば、Q-Check が測定するドライブが持っている固有の Jitter を相殺するなどして、測定結果から測定ドライブの Jitter 値を補正する機能を有している必要があります。
ただ、そこまでの精度を持たせるのは、無償で提供されるユーティリティソフトウェアの範疇を遙かに超えるものになってしまいます。 ここが、Q-Check で行える測定の限界と言えるでしょう。
これ以上の精度を求めるには、高価な業務用のメディアチェッカーが必要だと言うわけです。

 

PX-W4012TS
三井化学 MJCDR74NK(Pink) 74min
C1/C2 test

Beta/Jitter test

PX-W4012TS
太陽誘電 A74CP 74min
C1/C2 test

Beta/Jitter test

 

 

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